The Japan Educational Administration Society (JEAS)

会長

会長  大桃 敏行

この度、坪井先生の後を受けて会長をお引き受けすることになりました。非力ではございますが、皆様の協力を得て学会の運営にあたっていきたいと思います。特に、理事、監査、委員、大会校の皆さん、そして何より事務局長の村上先生と事務局幹事の皆さんにはご負担をおかけしますが、よろしくお願いいたします。
2016年に世界の注目を集めたもののなかに、英国のEUからの離脱と米国の大統領選がありました。国民の投票によるものだったこと、投票の結果が予想とは異なるものと思った人が多くいたこと、そのため投票の結果をなかなか受け入れようとしない人が多くいたことで、両者には共通点があります。両出来事は国民投票あるいは国民による投票の意義や難しさを改めて考えさせるものでありましたが、あわせて重要なことは両出来事がグローバル化の流れとは異なる要素をもつものだったことです。前者は超国家的組織の形成により国際的な課題に対応しようとする努力からの主要国の離脱であり、後者は自国優先の「米国第一主義」を掲げた候補者の当選でした。何十年か経ったときに、2016年が一つの節目になったとする解釈も生まれているかもしれません。「ポスト・グローバル化」あるいは「グローバリズム以後」の議論が活発になっています。
グローバル化の進行のなかで、日本の教育はその内容も供給・管理の仕方も国際的な影響を強く受けるようになりました。内容面では、一国際機関であるOECDが示した「キー・コンピテンシー」の概念やそれにもとづくテスト(PISA)が、日本の全国の教育実践に影響を与えています。供給や管理の仕組みについては、NPMの手法が日本にも導入され、成果や競争を重視する政策が教育の領域でも採用されてきました。「ポスト・グローバル化」といっても、それがどのようなものになっていくのかは予測が難しく、以上のような流れにいかなる変動をもたらすのかもわかりません。国家や国民の枠組みへの回帰が進むとしても、それはグローバル化とあわせて論じられることの多い格差や貧困の問題に有効な施策を打ち出し得るのかも不明です。このように不透明性が増すなかで、本学会は教育行政学研究を続けていくことになります。
本学会では教育行政学を教育学の一領域に位置づけ、教育行政事象の固有性や特殊性に注目して研究を進めようとする立場がありましたし、現在もそれに近い立場の人がいるものと思います。その一方で、行政学に立脚して教育行政事象を説明しようとする立場もあり、その場合は行政学が親学問として位置づけられることになります。しかし、後者の立場に立っても、行政学自体がそうであるように、量的研究と質的な調査研究、さらには歴史研究や国際比較研究なども含めて分析方法は多様です。おそらく、学会員の教育行政学に対してもつ思いや分析手法のこの広がりや多様性こそが、不透明性を増す時代にあって本学会の強みになっていくようにも思います。もちろん相互の吟味は重要ですが、不透明性を増す対象に挑むには選択肢が多い方がよいように思えるからです。
実証研究と規範研究が教育行政学も含めて社会科学の両輪であります。多様な手法で優れた実証研究を積み重ねていくとともに、規範を問いながら次の制度設計に通ずるような研究を進めていくことが求められているものと思います。学会運営に対して、いろいろとご意見をいただければ幸いです。

2016年12月10日

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最終更新日:2017年11月16日